唯一の年下くん
前回のブログで「年上趣味」と書きましたが、一人だけ年下の友達もいました。
いつもは忘れているのですが、何かのきっかけでふと思い出しては、甘酸っぱい気持ちにかられます。
GORGEOUSさんの「年下趣味」発言や、ナベサダさんが仕事の話をしていたのですが、その年下くんも同じ職種だったこともあって、昔の思い出が蘇ってきました。
私は学生時代、ソフトボールのチームに参加していました。
男女混合で、もともとは学生中心のリーグだったらしいです。
私が参加した頃は、年齢も20歳代ぐらいというアバウトなもので、社会人も沢山いました。
リーグに何チームか加盟していて、年下くんは私とは別のチームのキャプテンでした。
試合で顔を合わせているうちに、大学は違うけれど同じ2年生とわかり親しくなりました。
年下くんは行動派で、友達とボーリングやドライブに行く時に誘ってくれました。
音楽の趣味が似ていて、アルバムの貸し借りをしたり。
明るくて、みんなに好かれる好青年の典型という感じの人です。
彼がいい人であればあるほど、私の気持ちは重くなりました。
「もうこれ以上は、だましておけない。。。」
このブログでは時々書いていますが、私は一浪しているので、同じ2年生と言っても年は1歳上です。
そんな話をするきっかけもないまま、彼は同じ歳と思い込んでいます。
しかも、キャプテンをするぐらいだから、もともとリーダーシップを取りたがる性格でもあるみたいです。
同じ歳(という設定)なのに、彼は私を歳下扱いします。
そして、私はそんな状況に順応し、頼りにしたり甘えそうになったり・・・。
自分の反応に愕然とし、これはなんとかしなければいけないと焦りました。
当時の私にとって、年下の男の子と付き合ったりするのは、完全にタブーでした。
「ありえない。あってはいけないことだわ!
今はただの友達だけど、もし、彼が勘違いしたまま私の事を好きになったりしたら・・・」
思い込みの激しい私は、勝手に妄想して悩み、彼に手紙を書くことにしました。
当時彼は、天神のとってもわかりやすい所に住んでいました。
[年上であることを隠していて、申し訳なかった]
という懺悔の文章をしたため、部屋のポストへ。
ほかにどんな事を書いていたかは、忘れてしまいました。
というか、実はそんな手紙を書いたことさえすっかり忘れてしまっていたのです。
お互いに就職活動が忙しくなり、チームに顔を出すこともなくなりました。
そして、無事に大学を卒業し社会人になったのです。
入社2年目のある日、彼から突然会社に電話がありました。
「びっくりした!どうして電話番号がわかったの?」
驚く私に、私のチームの人に偶然会って、電話番号を聞いたと説明してくれました。
それから時々電話のやり取りがあり、お互いの友達で集まって遊ぼうということになりました。
久しぶりに会う彼は、すっかり自信に満ちた社会人でした。
入社2年目でも依然として「お使いの女の子」の私と違って、いろいろ仕事を任されているみたいです。
相変わらず私に対して、年上風に振舞います。
『しまった。彼は私を同い年と思い込んでいるんだわ。。。』
私は手紙を出したことをすっかり忘れていて、再度彼に
「ごめんなさい。
実は・・・私の方が・・・年上なの・・・」
「知っているよ。だって、手紙をくれたじゃないか」
「えっ、そうだったっけ
そう言われれば・・・そうだった、そうだった
いやぁ~、安心したわ
近頃物忘れがひどくて・・・ほんと、歳は取りたくないのものね」
「僕が年下なのがそんなに気になるの?」
「そんな訳じゃないけど、なんだかだましている気がして。
まあ、言ってたなら良かったわ」
「1歳下の壁は越えられないほど高い?」
「壁とかいう大げさなものじゃないわよ。
ただ、あなたが相手だと調子狂っちゃうのよね。
私って、同じ歳から3歳上の人に対しては、すごく闘争的になって嫌われるし、年上に対しては甘えて煩く思われるタイプなの。
でもあなたに対しては、どう振舞っていいかわからない。
いまさら年上のお姉さんぶるのも変だし」
年齢差を異常に気にする私にあきれたのか、それから電話をもらうことはありませんでした。
いつしか彼のことも忘れ、月日は流れて私は結婚が決まり会社を辞めました。
結婚式に向け忙しい日を送っていると、また突然彼から電話が。
「引っ越して電話番号も変わったのに、どうしてわかったの?」
「会社に電話したら、結婚が決まって退社したって聞いた」
「そうなの」
「結婚しない主義じゃなかった?」
「ふふ、学生時代から私そう言ってたね。
電話番号でわかると思うけど、父の転勤で会社から遠くなってしまって、新幹線通勤していたの。
転職しようかと思っていたところにお見合いの話がきて、結婚も転職の一種かなと思って結婚することにしたわ」
「相手はどんな人?」
「普通のサラリーマン。11歳年上」
「11歳年上のところが気に入ったの?」
「それも大きいかな。自然に甘えることが出来るから」
「そうか。幸せになって欲しいな」
「ありがとう」
恋に落ちる直前の感情で、相手が歳下だということにこだわってしまっていた私でした。
もし、今の私が彼に再会したとしたら・・・
やっぱり・・・
「私って年上趣味なの!」と宣言するでしょうね