誤解
最近、着物を入れているタンスの引き出しを開ける事が多いです。
そして持っていた事さえ忘れていた懐かしの着物に再会したりします。
絣のアンサンブル↓↓↓はそんな一枚です。
これは中学か高校の頃作ってもらっていたもの。
お正月の晴れ着には抵抗していた私でしたが、絣のアンサンブルは気に入ってちょくちょく着ていました。
絣ってデニムみたいな感じなので、大好きです。
久留米絣の地元なので、生活全般にあふれていましたし。
そんな絣の着物にまつわる思い出は、大学生の時の話です。
お正月が終わると、早々にアパートに戻りました。
後期試験がすぐに始まるからです。
と言っても、試験は一月いっぱいかけてゆくっりしたペースであるので、私の頭にあるのは、彼との新年初デートでどの服を着ようかということでした。
そしてふと思い付きました。
「新春デートは着物できまり」
彼に着物姿をアピールしたいなんていう、殊勝な発想ではありません。
試験で友達とおもいっきり遊んだりも出来ず、ストレス解消に何か変わった事がしたかっただけだと思います。
自分の思い付きにすっかりハイテンションになり、片道2時間かけて実家まで着物を取りに帰るのも、ちっとも面倒に感じませんでした。
ただ、驚いたのは実家の家族。
「3日前に戻ったばかりなのに、何か忘れ物?」
「そうじゃないけど、お母さんのぜんざいが急に食べたくなって」
帰るまえに、そう母に電話をかけました。
実家に戻ってみると、ぜんざいは勿論、私の好物が山のように並んでいました。
近くに住む例の派手好きの叔母まで来ていました。
家族は妙に優しく、叔母などお年玉をもらったばかりなのに、おこづかいをくれようとします。
こんなに厚遇されるならしばらく実家にいたいぐらいでしたが、とびとびとはいえ、試験のスケジュールもあったので、一泊で帰りました。
翌年のお正月に叔母が笑いながら語ったことによると
「てっきり失恋して帰ってきたと思ったのよ。
だってあんた、ぜんざいなんて嫌いで、いつもは食べないじゃない」
急な帰省の理由を聞かれて、とっさに「ぜんざいが食べたい」なんて口走ったけど、バレバレでしたね。
今考えると、着物を宅急便で送ってもらう方がよかったと思います。
親には彼氏の話などしたことがなかったので、着物が必要だと言うのが照れくさかったのかもしれません
その絣のアンサンブルも、結婚前に別のを作ってもらったので、もう着ることもありません。
娘にお下がりであげましょう。
因みにデートでは、彼が大感激してました